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何だか2続きでネコの日らしいので思い立った突発小ネタをば。
猫とアークライト兄弟のお話です。
いろいろ細かい部分には目をつぶっていただければ幸いです。
ちなみに終始トーマス視点だったりします。
口調とか違和感あったら申し訳ないと平謝りするしか無いクオリティー。
+++
■ネコの日ネタ(タイトルでもなんでもない)
「兄様、少し相談が──」
ソファに足を投げ出し我ながらだらしない格好でうたた寝をしていると、申し訳なさそうに弟が声をかけてきた。
てっきり怠惰な態度を咎めに来たと思いきや、しおらしい声に好奇心が勝って俺は重い瞼をこじあける。
「なんだよミハエル……って、なんでそんなずぶ濡れなんだよ……てか何だその猫?まさか拾って来ちまったのかよどうすんだよ?」
「だからそれを相談に来たんです」
話し相手を間違えたと言いたそうな弟の顔に少しだけ面白くない。
ミハエルは何かと頼りになる長男を探していたのだろうが、生憎所用とやらで外出中だ、珍しく。
だからこうして堂々と広いソファを占領できているわけだが、俺も兄貴だ。
たまには頼りになると証明したくもなって、取り敢えず猫と一緒に風呂に入れとアドバイスした。
「流石兄様。じゃあミルクと毛布の準備をお願いします!」といって弟はいそいそと風呂場へ向かった。
結局は弟に良いように使われてしまっていることに俺は気づいていない。
弟と猫がほかほかと湯気を立ち上らせながら戻ってきて、俺はうまく言いくるめられたことにその時気付いたが、たまには弟の我儘に付き合ってやる優しい兄貴を演じるのも良いかと思うことにした。
それ自体が孔明の……間違えた弟の罠だとも知らず。
ふわりと空気を抱き込んだ柔らかいタオルで体を乾かしてやり、すっかり綺麗になった猫は俺が皿に用意したミルクをちろちろと舐め始めた。
ちくしょうかわいいじゃねーか。
腹一杯になったのか食事を終えた猫は、弟の物とは思えぬ猫撫で声のミハエルの呼び声も無視し、ましてミルクと毛布を用意してあまつさえ風呂に入れろと提案してやった俺の近くになど寄り付きもせず、先程まで俺が寛いでいたソファに飛び乗り勝手にリラックスし始めた。
おいおい女王さま気取りかよてめぇ。
オスかメスかは知らないが良く良く見れば青いつり目にむっすりとプライドの高そうな顔つき、さらりとした金色の毛並みは誰かを彷彿とさせる気がする。
「……カイトっぽいな」
「え?あのカイトですか?」
「だって見ろよこの人を見下したような澄ました顔。決めた!こいつの名前はカイトだ!」
「兄様飼う気ですか!?」
「お前もそのつもりだったんだろ?」
「僕はただこの子を放っておけなくて気がついたら……」
「どーせ広い家なんだし野良猫一匹増えたところで変わんねーよ。なーカイト?」
同意を求めるように視線を向けるも猫はつんとそっぽを向いたままだ。
「全く可愛いげがないとこまでほんとそっくりだぜ。……そうだ、こいつオスかな?それともメスだったりして?」
ひっくり返して確かめてやろうとにじり寄ると、カイトは気配を察したのかさっと身構えた。
「やめてください兄様、怖がってるじゃないですか!」
「なんだよ、大事だろ男か女か。何も取って食おうってんじゃねーんだから。なあカイト?」
弟の真似をして猫撫で声で問いかけてみる。が、カイトはますます警戒してぶわりと毛を逆立てた。
「お?なんだよカイト?良いだろどうせ減るもんじゃねーしよ?……あっ!くそ、暴れんなって!ちょっと見せてくれたってバチは当たんないだろ?」
「に、兄様そんな乱暴にしたら……」
ミハエルの制止する間もなく、顔面へ勢い良く飛びかかってきた猫の鋭い爪が俺の頬を引っ掻いた。
「痛──ッてぇ…なぁこのくそ猫!」
すばしっこくても所詮は猫だ。図体で勝る人間が負けるはずがない。
顔へ覆いかぶさってきた胴体を両手で掴み顔から引き剥がすと、手も足も出ないのか恨みがましそうににゃあにゃあと唸り声を上げた。
「ふふん。言い様だぜ?……なあカイト?」
「兄様……」
「てめえは黙って見てろよミハエル、くっそー手こずらせやがって。今度こそ覚悟はできてんだろうなあカイトちゃ――」
「何をしている!?」
突然現れた怒号に二人と一匹は凍りついた。
俺は思わずよろけて猫ごとソファから転げ落ちる。
腕の中の猫を押しつぶさないよう、咄嗟に四つん這いになった俺が安心したのもつかの間、怒り狂った兄の誤解にまみれた罵倒を最後に俺はぶつりと意識を失った。
「なんだ、猫か……それならそうと言ってくれれば」
ミハエルに介抱されソファの上で目を覚ました俺の目の前で、兄貴は小柄な猫を腕に抱きながら、非常に薄っぺらい謝罪を述べた。
気を失う前に何コンボか入れられた気がするが頭がガンガンして全く思い出せない。
とりあえず覚えていたのは、兄貴が「カイト!!」と叫びながら烈火のごとく逆上していたということだけだ。
兄の早とちりにも苛立つが、それより何より気にくわないのはあのくそ猫の態度である。
野良から救ってやった俺には視線が合うだけで毛を逆立てるのに、無関係な兄貴に抱えられゴロゴロと喉まで鳴らしていやがるのだ。
いつの間にかミハエルにも懐いてるし、全く何から何まで気に入らねえ。
「あ、そうだトーマス兄様」
「んだよ」
「この子メスだったんです。名前どうしましょうか?」
女の子にカイトと言う名前は……と悩むミハエルに返事をしたのは俺ではなく兄貴だった。
「もう名付けてしまったんだ。カイトのままで構わないだろう」
「そうですか?……確かにあれこれ名前を変えると混乱しちゃいそうですね」
「ではカイトで決まりだな。カイト……ふふ。大人しく聞き分けが良いところもそっくりだな」
「大人しい……どこが」
俺の知っているカイトって人間の方は、愛想もなくていつもツンケンしてる野郎だ。
俺より一つ上なくせにとても大人気ない。
誰にでもそうなのかと思いきや、奴の弟と俺の兄弟に対しては全く反応が違うのだからまるで意味がわからない。
あぁもう、今思い出しただけで腹立たしい。
猫も奴も本当に憎らしいほど良く似ている。
思いつきで名付けたものの、似合いすぎて怖いくらいだ。
「どっちのカイトも猫被りやがって……全く、つくづくカイトって奴はムカツクったらありゃしねえ!」
「兄様、猫相手に大人げないですよ」
「トーマス、男の嫉妬は醜いぞ」
「あ゛あ?」
いつの間にか俺が悪者になっているようだ。
気まぐれな猫は嫌いではないが、こうも自分にだけ様子が違うとなると何だか面白く無い。
相変わらず視線を合わせれば、兄貴の腕の中だろうと俺に射殺すような視線を向け、ぶわりと毛を逆立ててやがる。
そういや、確か猫ってマタタビで酔っ払うんだったな。
見てろよカイト……今に目にもの見せてやる。
どうしてもカイトに一泡ふかせたい俺は、後日マタタビでリベンジしようと、心に決めたのだった。
+++
で、後日アークライト家を所用で訪れたカイトが「カイトは美人さんだなー」とか言ってるクリスの言葉を聞いちゃって「!?」ってなる感じのありきたり展開。
ちなみに野良だったカイトちゃんにはきっとマタタビ効かない。
効いたとしてもアイツ(トーマス)の思い通りになってたまるかああああにゃああああんん!!ゴロゴロ みたいなことになりそう。
でも多分そのうちV兄様の溺愛っぷりに耐え切れなくなって付かず離れずなトーマスの横とかにふらりと近寄って来るかもしれないデレ期。
ミハエルのことはきっと同じメスだと思ってる。無害も無害。
トーマスに懐いた頃に本物のカイトが猫の存在知って、クリスが猫カイトに過剰スキンシップするの見せつけられて一人やきもきする感じです基本的にほのぼの。
突発ネタにお付き合いいただきありがとうございました!
猫とアークライト兄弟のお話です。
いろいろ細かい部分には目をつぶっていただければ幸いです。
ちなみに終始トーマス視点だったりします。
口調とか違和感あったら申し訳ないと平謝りするしか無いクオリティー。
+++
■ネコの日ネタ(タイトルでもなんでもない)
「兄様、少し相談が──」
ソファに足を投げ出し我ながらだらしない格好でうたた寝をしていると、申し訳なさそうに弟が声をかけてきた。
てっきり怠惰な態度を咎めに来たと思いきや、しおらしい声に好奇心が勝って俺は重い瞼をこじあける。
「なんだよミハエル……って、なんでそんなずぶ濡れなんだよ……てか何だその猫?まさか拾って来ちまったのかよどうすんだよ?」
「だからそれを相談に来たんです」
話し相手を間違えたと言いたそうな弟の顔に少しだけ面白くない。
ミハエルは何かと頼りになる長男を探していたのだろうが、生憎所用とやらで外出中だ、珍しく。
だからこうして堂々と広いソファを占領できているわけだが、俺も兄貴だ。
たまには頼りになると証明したくもなって、取り敢えず猫と一緒に風呂に入れとアドバイスした。
「流石兄様。じゃあミルクと毛布の準備をお願いします!」といって弟はいそいそと風呂場へ向かった。
結局は弟に良いように使われてしまっていることに俺は気づいていない。
弟と猫がほかほかと湯気を立ち上らせながら戻ってきて、俺はうまく言いくるめられたことにその時気付いたが、たまには弟の我儘に付き合ってやる優しい兄貴を演じるのも良いかと思うことにした。
それ自体が孔明の……間違えた弟の罠だとも知らず。
ふわりと空気を抱き込んだ柔らかいタオルで体を乾かしてやり、すっかり綺麗になった猫は俺が皿に用意したミルクをちろちろと舐め始めた。
ちくしょうかわいいじゃねーか。
腹一杯になったのか食事を終えた猫は、弟の物とは思えぬ猫撫で声のミハエルの呼び声も無視し、ましてミルクと毛布を用意してあまつさえ風呂に入れろと提案してやった俺の近くになど寄り付きもせず、先程まで俺が寛いでいたソファに飛び乗り勝手にリラックスし始めた。
おいおい女王さま気取りかよてめぇ。
オスかメスかは知らないが良く良く見れば青いつり目にむっすりとプライドの高そうな顔つき、さらりとした金色の毛並みは誰かを彷彿とさせる気がする。
「……カイトっぽいな」
「え?あのカイトですか?」
「だって見ろよこの人を見下したような澄ました顔。決めた!こいつの名前はカイトだ!」
「兄様飼う気ですか!?」
「お前もそのつもりだったんだろ?」
「僕はただこの子を放っておけなくて気がついたら……」
「どーせ広い家なんだし野良猫一匹増えたところで変わんねーよ。なーカイト?」
同意を求めるように視線を向けるも猫はつんとそっぽを向いたままだ。
「全く可愛いげがないとこまでほんとそっくりだぜ。……そうだ、こいつオスかな?それともメスだったりして?」
ひっくり返して確かめてやろうとにじり寄ると、カイトは気配を察したのかさっと身構えた。
「やめてください兄様、怖がってるじゃないですか!」
「なんだよ、大事だろ男か女か。何も取って食おうってんじゃねーんだから。なあカイト?」
弟の真似をして猫撫で声で問いかけてみる。が、カイトはますます警戒してぶわりと毛を逆立てた。
「お?なんだよカイト?良いだろどうせ減るもんじゃねーしよ?……あっ!くそ、暴れんなって!ちょっと見せてくれたってバチは当たんないだろ?」
「に、兄様そんな乱暴にしたら……」
ミハエルの制止する間もなく、顔面へ勢い良く飛びかかってきた猫の鋭い爪が俺の頬を引っ掻いた。
「痛──ッてぇ…なぁこのくそ猫!」
すばしっこくても所詮は猫だ。図体で勝る人間が負けるはずがない。
顔へ覆いかぶさってきた胴体を両手で掴み顔から引き剥がすと、手も足も出ないのか恨みがましそうににゃあにゃあと唸り声を上げた。
「ふふん。言い様だぜ?……なあカイト?」
「兄様……」
「てめえは黙って見てろよミハエル、くっそー手こずらせやがって。今度こそ覚悟はできてんだろうなあカイトちゃ――」
「何をしている!?」
突然現れた怒号に二人と一匹は凍りついた。
俺は思わずよろけて猫ごとソファから転げ落ちる。
腕の中の猫を押しつぶさないよう、咄嗟に四つん這いになった俺が安心したのもつかの間、怒り狂った兄の誤解にまみれた罵倒を最後に俺はぶつりと意識を失った。
「なんだ、猫か……それならそうと言ってくれれば」
ミハエルに介抱されソファの上で目を覚ました俺の目の前で、兄貴は小柄な猫を腕に抱きながら、非常に薄っぺらい謝罪を述べた。
気を失う前に何コンボか入れられた気がするが頭がガンガンして全く思い出せない。
とりあえず覚えていたのは、兄貴が「カイト!!」と叫びながら烈火のごとく逆上していたということだけだ。
兄の早とちりにも苛立つが、それより何より気にくわないのはあのくそ猫の態度である。
野良から救ってやった俺には視線が合うだけで毛を逆立てるのに、無関係な兄貴に抱えられゴロゴロと喉まで鳴らしていやがるのだ。
いつの間にかミハエルにも懐いてるし、全く何から何まで気に入らねえ。
「あ、そうだトーマス兄様」
「んだよ」
「この子メスだったんです。名前どうしましょうか?」
女の子にカイトと言う名前は……と悩むミハエルに返事をしたのは俺ではなく兄貴だった。
「もう名付けてしまったんだ。カイトのままで構わないだろう」
「そうですか?……確かにあれこれ名前を変えると混乱しちゃいそうですね」
「ではカイトで決まりだな。カイト……ふふ。大人しく聞き分けが良いところもそっくりだな」
「大人しい……どこが」
俺の知っているカイトって人間の方は、愛想もなくていつもツンケンしてる野郎だ。
俺より一つ上なくせにとても大人気ない。
誰にでもそうなのかと思いきや、奴の弟と俺の兄弟に対しては全く反応が違うのだからまるで意味がわからない。
あぁもう、今思い出しただけで腹立たしい。
猫も奴も本当に憎らしいほど良く似ている。
思いつきで名付けたものの、似合いすぎて怖いくらいだ。
「どっちのカイトも猫被りやがって……全く、つくづくカイトって奴はムカツクったらありゃしねえ!」
「兄様、猫相手に大人げないですよ」
「トーマス、男の嫉妬は醜いぞ」
「あ゛あ?」
いつの間にか俺が悪者になっているようだ。
気まぐれな猫は嫌いではないが、こうも自分にだけ様子が違うとなると何だか面白く無い。
相変わらず視線を合わせれば、兄貴の腕の中だろうと俺に射殺すような視線を向け、ぶわりと毛を逆立ててやがる。
そういや、確か猫ってマタタビで酔っ払うんだったな。
見てろよカイト……今に目にもの見せてやる。
どうしてもカイトに一泡ふかせたい俺は、後日マタタビでリベンジしようと、心に決めたのだった。
+++
で、後日アークライト家を所用で訪れたカイトが「カイトは美人さんだなー」とか言ってるクリスの言葉を聞いちゃって「!?」ってなる感じのありきたり展開。
ちなみに野良だったカイトちゃんにはきっとマタタビ効かない。
効いたとしてもアイツ(トーマス)の思い通りになってたまるかああああにゃああああんん!!ゴロゴロ みたいなことになりそう。
でも多分そのうちV兄様の溺愛っぷりに耐え切れなくなって付かず離れずなトーマスの横とかにふらりと近寄って来るかもしれないデレ期。
ミハエルのことはきっと同じメスだと思ってる。無害も無害。
トーマスに懐いた頃に本物のカイトが猫の存在知って、クリスが猫カイトに過剰スキンシップするの見せつけられて一人やきもきする感じです基本的にほのぼの。
突発ネタにお付き合いいただきありがとうございました!
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