忍者ブログ
腐よろず雑記。 感想やラクガキ・小ネタを投下してます。 ZEXALが無事最終回を迎えましたが相変わらずカイト受けを欲しています!!切実!!
Admin  +   Write
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

タイトル通り、リハビリ文章です。
遊ジャだけど、ジャックと風馬が仲良しです。…仲良し?

そして何故か病んでしまったので注意です。おかしい、程よく変態な遊星さんにしようと思ってただけなのに大分痛いぞこれは(´∀`)

+++

ちなみに言い訳ですが、以前作業中リストにあったものではありません\(^o^)/
寝る前に衝動書きしたものなのでその程度だと思っていただければあばば。
やっぱり勢いで書き上げるんだったら今まで中途半端に書いてるのは全部ボツにするべきかなあと最近冷静に思ってみたりしないこともないゲフン。
どうしても進みそうに無かったらネタとして途中でも不法投棄するやもしれません。(ええええ)

+++
 


■箱庭の住人

 

その日の遊星は、珍しく気分が悪かった。
吐き気があるとか、寒気があるとか。そういう類いの気分の悪さではなかったのだが、何かが喉の奥につっかえているような、胸の奥に溜まっているような、なんとも言えない気持ちの悪さがあった。
「よぉ遊星。……って、なんだえらく不機嫌じゃねーか」
不機嫌…そうか、今俺は機嫌が悪いのかなどと、どこか他人事のように理解する。
カンカンと鉄製の階段を鳴らしながら降りてきたクロウが、ふと気づいたようにガレージを見渡した。
「ん?あいつは確かセキュリティの…」
「風馬が来ている。…ジャックの客だ」
「ははぁ~ん。それで遊星は面白くねえってんだな」
「ジャックが楽しそうならそれでいい」
「いいって顔にゃ見えねえなあ。ま、風馬は悪い奴じゃねえしよ。子守りを任せるつもりでたまには気晴らしにでも行ってきたらどうだ?」
「考えておく」
淡々と答える遊星の横顔を眺めやりながら友人として心配していないはずも無いのだが、クロウは大事な朝一番の配達のため愛機と共にガレージを出て行くことにした。

クロウが外出してからも、遊星の作業は黙々と続けられていた。
WRGPに向けてデッキを調整したりDホイールの改良をしたりと、まだやるべき課題は山積みだ。
暫くガレージで話し込んでいたジャックと風馬は、遊星の邪魔になると悪いとの計らいから二階へと場所を移した。
その後、二人と入れ違いになる形でブルーノがガレージへ降りてくる。
「おはよう遊星。なんだか賑やかだと思ったらお客さんが来てたんだねー。コーヒー入れるって言うから一杯ご馳走になろうかと思ったらジャックに怒られちゃったよ」
へらりと笑うブルーノは遊星がいつも通り無口なのを気にも止めず今しがた目にした二階の様子を話し出した。
「ジャックってああいう性格だからさ、どんな人が相手なんだろうと思ったんだけど、なるほど年上の人かー。やっぱりジャックを相手にするにはあれくらい余裕を持って接しないと上手くいかないのかもね。僕もあんな風になれば殴られなくてすむかなーなんて。あ、今の話ジャックには内緒にしてね」
「あぁ」
Dホイールのメンテナンスをこなしながら軽く相づちを打ったように見せかけて遊星はブルーノの大きな独り言にしっかり聞き入っていた。
ジャックが風馬と出会ったのは最近のはずだ。遊星も意識の回復した風馬と病院の屋上で会っている。
怪我が無事に完治して退院した後。ジャックは約束通り風馬と何度かデュエルをしたようだが、警戒心が強く人の何倍もプライドが高くて更に気難しいあのジャックが、もう何年来の友人みたいだといつ言い出してもおかしくないくらいに二人の距離は急接近していた。
ジャックが誰と親交を深めようが遊星には口を出す権利はない。自分とジャックだって、どんな関係かと言われればただの幼馴染でしかないのだ。
その幼馴染がつい最近出会ったばかりの知人と楽しそうに笑っているのを面白くないと感じる俺は、もしかすると幼馴染失格なのだろうか。
今の俺はクロウの言う通り、まさに「機嫌が悪い」という状態なのだろう。
その理由は最早言うまでも無い。
この胸のざわめきは今朝ジャックを尋ねてきた風馬と、自分の目の前で風馬と楽しそうに語らい合う幼馴染への醜い嫉妬心に他ならない。
ジャックに友人が増えるのは嬉しいことだ。昔のジャックであれば恐らくこんな付き合い自体求めることはなかったであろう。
幼馴染の自分でさえも越えるべき敵としか見てくれなかったジャックが、今はこうして志を同じくするチームの仲間だと認めてくれている。
俺が今まで仲間と絆を深めて行ったのと同じように、ジャックもまた新しく出会った風馬という仲間を増やそうとしているのだ。
ジャックが俺以外の誰に笑顔を向けようと、それはジャックの自由だ。
だとすれば今まで俺しか知らなかったジャックの表情を、これからは同じように風馬にも向けるのだろうか。
俺にだけ見せていた顔を風馬にも見せるようになるのだろうか。
いつかは俺のまだ知らないジャックまで風馬に取られてしまう気さえして俺は頭を振った。
こんなものはただの独占欲でしかない。
自分の中に眠っていた汚い物を自覚して初めて、俺はジャックに幼馴染以上の関係を望んでいるのだと気づいた。
それがどんなものかはまだよくわからない。
それでも、風馬にジャックを取られたくない、それだけははっきり言える。
どうしたらジャックは俺を見てくれるだろうか。
風馬に有って遊星に無いもの……自分には何が欠けている?
ブルーノが言っていた年上の余裕だろうか…。残念ながら俺がこれからどう足掻いたって風馬のような年上にはなれない。
では風馬のような爽やかさか、しかしそれを実行をすることはおろか、想像することさえも出来そうになかった。
このままジャックが自分から離れてしまったら……。
ただの幼なじみの自分よりも、もっと魅力的な男に惹かれていたら。
きっと口下手な自分にはジャックを止めることは出来ない。
風馬と自分を隅々まで比べて勝っているとわかったことは、付き合いの長さと口数の少なさだけだった。これではとてもあの強敵を退ける切り札になり得ないだろう。
おしゃべりなジャックのことだ、一旦は興味を惹きつけることが出来ても、あまり口数の多くない自分に飽きてしまうのではないか。
爽やかで優しくて気が利いて年上で頼り甲斐のある風馬と比べると、ジャックが風馬に惹かれることに文句は言えない。
それでも、ジャックが隣にいない未来なんて遊星には考えられなかった。
ジャックのことを考えると、他の何も手に付かなくなる。配線を弄っていた手がぴくりとも動かない。どこをどう弄れば良かったのさえ、思い出せなくなる。
心臓が、痛い。
痛くて、苦しくて、まるで心臓を何かに絞めつけられているように息苦しい。
「どうしてこんなにも苦しいんだ…」
「え?遊星、どこか痛いのかい?」
ブルーノが心配そうに振り返る。
「ジャック…」
掠れた声は本当に自分のものなのだろうか。
もし今後自分の口からジャックと言う言葉が出なくなったら、俺は一体どうなってしまうだろう。


いつものように修理先から帰って、ブルーノがお帰り。と笑いかけてくる。
そのうち配達から戻ったクロウが加わって、じゃあ腹も減ったし飯にするか!と三人分の食器を並べ始めた。
クロウ、ブルーノ、そして自分の。
三人…?
……違う。
俺達はいつも三人で、でもその内にブルーノが増えて四人でテーブルを囲んで…いたはずだ。
「クロウ、皿がもう一つ足りない」
「ん?…ちゃんとあるじゃねえか。俺のと、遊星のと、そんでブルーノ」
「ジャックは…」
「ジャック?おいおい、ジャックはもうここにはいねえだろ。風馬んとこ行ったんだから」
「風馬…と…?」
「そうだよ。もう2週間になるのかー。殴られなくなったのは嬉しいけど、やっぱりちょっと寂しいよね?」
「……違う…ジャックは、いなくなんてならない」
「おい遊星…大丈夫か?」
「嫌だ、そんなことは…嘘だ、」
「遊星?寂しいけどジャックが決めたことなんだ。風馬さんと…」
「駄目なんだ、いつも隣にいるのが当たり前で…俺達はっ!」
…離れるなんて…ジャックが俺以外の男を好きになるなんて、俺は、ジャックがいないと…俺は…ッ

俺はジャックのことが……

 

「遊星!」

 

目を開ければ白い肌。菫色の瞳が覗き込んでいた。
「…ジャック…?」
「この大馬鹿者め…」
見渡すと見慣れた天井。
遊星はポッポタイムの二階にあるソファの上で横たわっていたのだ。
「貴様、何日も満足に寝ていないそうだな」
「それは…」
ジャックは怒っていた。いつもの癇癪とは違う、重苦しい空気がびりびりと伝わってくる。
どうやら意識を失ってしまったのだと理解した遊星は途端に気まずさを覚えた。
無茶をするな、無理をするなとしつこいほどにジャックに言われて、挙句こうして今遊星は力なくソファに身を預ける羽目になっている。
「…無理はしていな…──」
「どの口が言う」
ぴしゃりとジャックの冷たい声が降った。
「…さっきブルーノに全て吐かせたぞ」
「……」
「ニューエンジンは必要だが、大会に出るにはまずお前自身が不可欠であることを忘れるな」
「すまない…」
「肝に命じない謝罪など無意味だ」
「すまない」
「…あまり心配させるな」
見上げれば菫色の瞳が微かに揺れていた。
思えば、ジャックの顔をこんなに間近で見るのは久しぶりかもしれない。
ふと視線を巡らすも風馬の姿は見当たらなかった。
「風馬は…?」
「帰したに決まっている」
「そうか、…すまない」
「貴様……ッ!」
風馬にもジャックにも悪いと思って口にしたのだが、今度ばかりはジャックも声を荒らげた。
「心配してやっていると言うのに何故そんなことばかり気にかけるのだ!」
「……ジャックの…」
「オレが何だと言うのだ」
「ジャックの話し相手を奪ってしまった」
「…」
先程までジャックの声が響いていた部屋が突如しんと静まり返った。
呆れて物も言えなくなってしまったのかと不安に駆られ、ちらりとジャックを見上げる。
「本当に、お前は大馬鹿者だな」
言葉とは裏腹にジャックは口端をつり上げて笑みを浮かべた。
「お前が倒れたのを放って呑気に談笑できるわけがないだろう。風馬とて気を使えぬ男ではない」
「あいつを信用しているんだな」
「もちろんだ。お前もそう思わないか?」
「…最近仲が良すぎる」
「…!」
口にした後で後悔しても手遅れだが、自分でも子供じみた文句だと思った。
「なんだ?ヤキモチか?」
「悪いか」
ヤキモチで何が悪い。どうせ俺はジャックから見ると年下で子供だと思われているんだろう。
「そう怒るな遊星」
「ジャックが悪いんだ。風馬に対して苛立つのも、ジャックのことを考えて悲しくなるのも、寂しいのも……こんなに醜い嫉妬も、全部ジャックが教えたんだ」
「遊星…」
「お前がアイツと楽しそうに話しているのを見るのは嫌だ。でも、それは俺の勝手な独占欲だ」
「お前になら構わない」
「え…」
じっと菫色の瞳が遊星を見つめていた。いつになく真剣な眼差しに遊星はごくりと喉を鳴らす。
「オレを独り占めしたいのか?お前がオレを望むならオレの全てをくれてやる」
「本当か」
「その代わり、遊星。お前の全てをオレによこせ。お前の中にオレへの執着があると言うのなら、全てさらけ出せ」
「…そんなことで良いのか?」
「誓え。オレを愛しているのなら」
愛…。これが愛しているということなのか?
愛とはもっと温かくて、優しくて、真綿のように柔らかいものだと思っていた。
こんなに汚くて、重くて、相手の全てを欲するようなこの気持ちがお前の言う通り愛だと言うなら、俺はお前の望む答えを与えよう。
「俺はジャックを愛している」
オレも愛しているぞ。と返すジャックの幸せそうな笑顔に遊星は満たされる思いだった。
俺しか知らないジャックの表情がまた一つ増えた気がした。
こんなに愛しい笑顔を知っているのは俺だけで良い。
ジャックはお喋りで、とても感情が豊かだから、いつ誰にこんな表情を見せてしまうとも限らない。
そうだ、ジャックのために部屋を作ろう。
ジャックの望むものを全て備えたそこで、ジャックと俺の小さな理想郷を作ろう。
幸せが逃げてしまわないように大切に厳重に鍵を掛けて。
その美しい瞳も、心地良い声も、しなやかな身体も、もう他の誰にだって少したりとも分け与えたくない。
俺だけに笑いかけて、俺だけをその菫色の瞳に映してくれれば良い。
そうしたら俺はジャックだけに笑いかけて、ジャックだけをこの瞳に焼き付けよう。
ジャックの全てを独占しても誰からも文句は言われない。
だって俺の全てはジャックのもので、ジャックの全ては俺のものだから。

「ジャック、俺達はもうずっと一緒だ」

俺の愛しいジャック。
小さく美しい箱庭の中で優しく永遠の愛を捧げよう。



+++

終わってびっくり、風馬さんがただの当て馬に!(笑)
PR
Comment
color
name
subject
mail
url
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カレンダー
05 2025/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
プロフィール
HN:
紺海(こんみ)
HP:
性別:
女性
自己紹介:
ごっず【遊ジャ】
ゼアル【Vカイ・ハトカイ】
GG【ソルカイ】地平線中毒
ガンダム【宇宙世紀・未来世紀・西暦】
etc…
material by bee  /  web*citron
忍者ブログ [PR]