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腐よろず雑記。 感想やラクガキ・小ネタを投下してます。 ZEXALが無事最終回を迎えましたが相変わらずカイト受けを欲しています!!切実!!
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もう一個バスタードの小説\(^o^)/

ガラカルです。
よく考えたらカルは愛を知らないんじゃなくて、愛を信じられないんですよね。
愛がわからないのはDSだったブフッ∵(´ε(○=(゚∀゚ )


+++

こちらのお題も下の記事と同じ
Discolo 様 からお借りしました。
88*31

こちらの5題内にある「歪んだ愛情5題」から【冷めた瞳で「愛してる」】というお題を使用させて頂きました。


+++

■冷めた瞳で「愛してる」





「愛」というものが良くわからないのだと、綺麗な顔の青年は何の感情も浮かばせずに呟いた。
明るく陽の光を弾く銀色の髪はガラの故郷ではまず見ない色合いであった。
まだ幼さを残した面持ちは、彼の目鼻立ちがまるで作り物のように整っており、特にその大きな青い瞳が彼の童顔に拍車を掛けているのだと思った。
童顔…ではあるだろうが、彼は決して幼い少年ではない。
ガラの半分も生きていないような外見をして、彼の纏う何事にも動じない落ち着き払った態度は彼の生きた数百年という月日が創り上げたものなのだ。
大魔導師と敬われることもあれば、その整ったルックスから氷の貴公子とも呼ばれる青年は、名をカル=スと言った。
カルに比べると普通の人間に過ぎないガラには、カルの生きてきた数百年のうちに一体この青年の身に何が起こったのか知る由もない。
カルが自分のことを饒舌に話すことはまず皆無で、ガラとて他人の古傷を無遠慮に抉る真似は好まないからである。
どんな経歴であれ、どんな人物であれ。今はひとつの目的のために同じ方向を向いていることに変わりはないし、過ぎたことを穿り返す意味も、労力のわりに大抵ろくな結果に繋がらないこともガラ自身が誰よりも理解していた。
だが、例外もある。
ガラは目の前にいるこの青年に並々ならぬ愛着を感じているのだ。
ホモなのか。と問われればそれも何だかしっくり来ない。
ガラは自他ともに認める大らかで、それでいて適当な人間である。彼は人間が好きだ。それがどんなに無愛想であれ、いけ好かない野郎であれ、ガラが根本的に人を嫌う理由には足りない。
だが思いを寄せている女がいないわけでもない。黒髪に褐色の肌を持ったダークハーフエルフのことを思い出して、でれっと鼻の下を伸ばす程度には好きだ。
ガラのだらしない顔を見たのか、本を読み耽って徹底無視していたカルが僅かに眉を顰めた。
カルにしてみればガラが誰を思おうと、それがたとえ父であり師であるDSの、愛人かつ愛娘であるあのハーフエルフの少女に対して良からぬ妄想を繰り広げていようと、これっぽっちも知ったことではないのだが、全く相手にされていないのに懲りるという言葉を知らない奴だな、とただただ呆れるばかりである。
「オメェはよぉ…」
ガラの呼びかけに、カルは分厚い書物から顔を上げてガラを見つめた。
「DSのこと好きなのか?」
訊きながらガラはらしくもない問いかけをしたものだと思った。カルの中に占めるDSへの優先度はほぼ100%であると断言しても良い。そんなDS命なカルに、今更DSは好きかと尋ねたところで何が変わるのかと、つくづく自分の短絡的な思考を呪った。
だが、どんなことであれ気になっている相手の考えは知りたいものである。カルのように書物を読みあさる知的好奇心は生まれた時に母親の胎内へ忘れてきたが、こと人間相手に関しては他人への興味が希薄なカルよりは勝っているのだ。
「決まっている」と平然と言い切るカルの答えを予想していたガラは、次いで発されたカルの言葉に「だよなあ~」という適当な相槌を打ちそうになるのを寸前のところで飲み込んだ。
「好きか嫌いかと問われれば、……恐らく、好きなのであろうな」
「な、なんか奥歯に物の挟まった言い方だな」
半分近く読み進めた魔導書に紐状の栞を挟んで、カルは少し考える素振りを見せた。
本を器用に抱えながら、利き腕を口元にやるのは考え事をするカルの癖だと、何度もカルの読書の邪魔をしに訪れているガラは知っていた。
「私には、他人を愛するということがどういうことなのか、よくわからないのだ」
「そんな難しい本は理解出来るのに、愛がわからないっつーのも可笑しな話だな。好きよりもっと好きだったら、それが愛ってもんじゃねえのか?」
「好きよりもっと好き……。……DSは私にとって重要な人物だ。他の何よりもまず優先すべき存在は、好きより、もっと好きであるというものに違いはない。…なら、私はDSを愛しているのか?」
「俺に聞かれても困るけどよぉ、その愛とは違う気がするなあ」
違うと聞いてカルはもう一度考え込んだ。そしてふと、愛を全身で表現している少女のことを思い出す。
「例えば、ネイのDSへの態度とか……」
「そうそう!アレが愛だよ!」
思わずうんうん頷いて、ガラは何故か盛大に項垂れた。
ガラの失恋など今に知ったことではないので気にすることなくカルはネイの態度を思い起こしてみる。
ある意味ではネイはカルよりもDSに依存していた。DSの姿が見えないと屋敷中を探しまわり、DSとカルが二人で討伐に出れば、置いていったと癇癪を起こし、機嫌を直せとDSに抱き寄せられればころりと機嫌を良くしてしまうのだ。
「私がDSへ抱いているものがネイと同じものかというのは……違うだろうな、恐らくは」
そう言いながら、カルはそうか、と小さく呟いた。
「お前の問いは私がDSへ抱いている感情が、恋愛感情を伴う愛か、それ以外の愛であるかというものか?」
より正確に言い直されて、暫し混乱したガラだが、恋愛感情と言われて不意に我に返る。もしかすると自分のそれも、カルに投げかけた問いと同じものをオウム返しにされた気分だった。
「私はDSのことを恋愛感情を交えて見ることは無い。それはネイにも同じことが言える。彼らは私にとって何物にも代えがたい存在だが、恋仲を望んでいるわけではないな」
ようやく自分の心につける名前を見つけたのか、カルは心持ち晴れやかな表情に見えた。もちろん、見えた気がしただけである。隣にはいつもと同じ、冷静で無表情な顔が読み途中だった本へ視線を戻す途中であった。
「俺のことは?」
話題は終わったとばかりに視線を戻した顔を、もう一度自分へ向けたかっただけかもしれない。
ガラの言葉にカルは再びその大きな瞳でガラを見上げた。
「愛してるって言ってみてくんねぇ?嘘でもいいから」
自分でも何故そんな言葉を言ったのかわからなかった。嘘でもいいからと言えば、冗談でもこの青年の愛を手に入れられると思ったのか。
誰よりも冗談とは縁遠く、誰よりも愛に対して臆病になっているこの青年の。
ガラの真っ直ぐな目を見つめ返し、カルはしばらく無言でその黒い双眸を覗き込んでいたが、何事もなかったかのように手元の本に視線を戻した後。
冷めた瞳で「愛してる」と呟いた。
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